はなバスの赤字
2005年6月29日の週刊東興通信にはなバスの赤字の記事が掲載された。年間運行経費が2億5000万円かかり、開業からの累積赤字は6億3000万円とのこと。記事では武蔵野市のムーバスが黒字であることに触れ、はなバスの赤字を際立たせているが、実際にはムーバスが特殊な例で、ほとんどのコミュニティバスは赤字であると聞いている。
はなバスやその他のコミュニティバスについては以下も参考にしていただきたい。
西東京市のコミュニティバス はなバス
http://tamatama.tea-nifty.com/tanashi/2005/05/post_d251.html
コミュニティバスが黒字化しにくいのにはそれなりの理由がある。そもそも容易に黒字化できる路線であれば、民間バスが運行するはずだ。民間バスが採算の取れない路線を走らすのだから、黒字化するのが難しいのは当然である。しかもコミュニティバスは民間バスの路線とはバッティングしないように路線を決めているのである。
武蔵野市のムーバスの場合も1995年にスタートしたが1997年までは赤字である。ムーバスが黒字化できた要因のひとつは人件費の圧縮であり、ムーバスの運行は関東バスと小田急バスに委託しているが、バス運転手を55歳以上の高齢者を再雇用することでコストの大幅な削減に成功し、ようやく黒字になっている。西東京市のはなバスはまだ人件費には手をつけていないようなので、この点は改善できるのではないだろうか。はなバスも関東バスと西武バスに運行を委託しているのだから。
はなバスの運行コストが高いことについては、オーストリア製のバスがよく故障し、そのメンテナンスにコストがかかることも指摘されている。このバス、はなバス路線が狭い住宅地域を走ることから選択されたようだが、狭いし乗り心地がよいとは思えない。個人的にデザインは気に入っているが、ムーバスの修繕費が500万円に対して、はなバスの修繕費が4450万円もかかっているのであれば、ムーバスと同じ日野自動車を採用すればよかったように思う。ムーバスも結構狭い住宅地を走っているのだから、条件はそれほど変わらないように見える。
もっとも、吉祥寺という巨大な繁華街をかかえる武蔵野市のムーバスは特殊である。ほとんどのコミュニティバスが高齢者等の足として利用されるのに比べ、ムーバスの場合は、高齢者の足としての利用はもちろんのこと、吉祥寺駅周辺の交通対策の意味合いもある。吉祥寺駅周辺への自動車や自転車の乗り入れを、ムーバスを利用してもらうことで減らしているのである。
はなバスが赤字であることを許容してよいとは思わないが、はなバス自体の市民の評価は高いと思う。はなバスの問題は行政、市民、バス会社が協力して知恵を絞っていく問題に思える。運行コストの赤字分を西東京市が補填する今の仕組みでは、バス会社は経営努力をする必要はないし、そもそもコスト削減のインセンティブは出てこないだろう。バス会社が経営努力で儲かるようにしなくてはならないし、西東京市も効率化を要請していかなくてはならないだろう。また、利用者は受益者負担の考え方から、値上げも受け入れるべきではなかろうか。市民の足としてのはなバスの存続は必要だ。そのためにもはなバスの経営にはきちんとした対策を打ってもらいたいものである。
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コメント
…”ムーバス信仰”が酷すぎる。コミバスイコール運賃100円とか…
全体で5キロ位の路線を一方通行で廻るのが基本なのだから 1台でも頻発運行なのは当然なのだが。
わが市でも議員の出すコミバスに関する質疑、提案は小学生の自由研究以下。狭い市なのに経路案すら出せない。
赤字で批判があるのに「全員運賃無料」で「公共機関だけ」廻ればいいとのたまう…そんな議員のギャラは800万。なんともはや…。
投稿: 七色亭撫肩 | 2010年12月 8日 (水曜日) 23時31分